Coffee Break
オチンチンのはなし
谷風 三郎
pp.202
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901182
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包茎を主訴として小児泌尿器科を受診する患者さんは少なくない。注意深く診察するとほとんどが手術適応はなく,たんに包皮が過剰であったり,包皮と亀頭部が癒着していたりという状態のことが多い。入浴時に包皮を翻転してみたら完全に亀頭部が露出しなかったとして受診することもあるが,よく見ると包皮輪が多少狭窄気味で完全には翻転しないものの亀頭の先端部は十分に露出するというのも多い。これも手術適応はまったくない。こういう場合ご両親に「これは異常ではないので,手術の必要はありません。」と説明するがなかなか納得していただけない。何回か説明をくりかえし,あげくに「心の傷になるといけないので小さいうちに手術をしておいてあげたい。」とおっしゃる。そこでわれわれは「小さいうちに手術をすると全身麻酔が必要で,これは多少の危険を伴いますよ。」と説明する。すると「おとなになると麻酔は必要ないのですか?」と逆襲される。そこで最後に「手術をして完全に亀頭を露出すると他の子供さんとは違う外観になるから,子供さんでは包皮輪を広くするだけの手術をするので,おとなになると結局もう一度手術をするはめになりますよ。」と説明する。ここまでくるとしぶしぶ納得される。
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