講座
蟯虫のはなし
川本 脩二
1,2
1京都第一赤十字病院
2京都府立医科大学
pp.31-35
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911110
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蟯虫 学名 Enterobius vermicularis(Linnaeus, 1758)またはOxyuris vermicularis
蟯虫は蛔虫と同様に古くから知られていて,既にヒポクラテスは動物解剖の時,蛔虫と共に蟯虫を発見し,「之等は糞便特に胎糞より生じたもの」と云つている。我国でも昔より「肛門に蛆のわく病」と云われて比較的よく知られているが,この虫は肛門の周囲に卵を産みつけると云う特別な性質の為に,普通の塗抹検便法で虫卵を検出する事はむつかしく,従つて真の寄生率が不明であり,又蟯虫自身,人に通常致命的な症状を来す事が少く,而も単なる下剤,浣腸だけで或る程度排虫される為に簡単に駆虫出来るものと考え,一般的に蛔虫程,注目されていない。
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