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"病気のはなし"といっても,本誌の巻頭を飾っているホンモノの病気のはなしではない,何かに凝っている状態を若い仲間は"あ!病気してるゥ"とか"うわぁ,大病気!"などと評する.そのような意味で,身の周りの"病気"に目をむけるといろいろな症状(?)に改めて気がついた.きわ立って流行の兆しを見せているのが"マイコン病"で,つい最近も我々の病院の中検ニュースに,"中堅層にきく"というタイトルで数名の技師が小文を寄せていたが,普段ほとんど交流のない人たちであったのに,全員がマイコンに関係したことを書いていたのにはびっくりさせられた.仕事の面で活用したいという人から,家庭で御主人にオモチャ(?)として買ってもらって楽しんでいる,というのまであり,現代っ子の対応の早さに感心させられた.百万円以上もの投資をしてマイコンを家に備えつけた人も検査室内に数名おり,仕事に疲れた身体と神経をマイコンとの対活でときほぐすというから驚く.検査室だけでなく,内科や精神科の医師を中心にメディカルコンピュータクラブが結成され,同好の士を求めている.
私の見る限りでは,"病気"にかかりやすいのは男性に圧倒的に多いようである.マイコン病のように急性伝染性のものもあるが,古典的でかつ流行の衰えを感じさせないものに"プラモ病"蒐集病等がある.女性にも凝り性の人はたくさんいるがどこか常に現実的なところがあり,いわゆる"病気"という感じからは遠いいように思う.そして,どちらかというと,右脳の発達した人に"病人"が多いようにも感じられるのは,右脳発育不全を自認する私の憧れ(?)のせいであろうか.(本誌2月号の本欄に,右脳・左脳のことを書いたが,肝心の左右を間違えてしまい,早速読者から御指摘をいただいた.ここにお詫びとともに訂正させていただきます.)
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