交見室
Seeing is believing,他
谷風 三郎
1
1兵庫県立こども病院小児泌尿器科
pp.526-528
発行日 1993年6月20日
Published Date 1993/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900982
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古くから手術手技の習得には先輩方の手術を見ておぼえるという習慣があり,私も一般外科の研修医時代には時間の余裕があれば手術室に入り浸っていた記憶がある。しかし,最近,泌尿器科領域では観血的手術の頻度が少なくなったこともあり,若い先生方があまり手術見学に行かない傾向があるように聞いている。実際入れ替わり来ていただく研修医の先生方で手術の助手が十分にできない場合が時に見受けられる。そこでこの話をするとビデオテープで手術を見ていますとの答えが返ってくる。たしかに最近手術のビデオテープが容易に手に入るようになり,知識としての手術手技の習得が可能となっている。しかし,10分程度のビデオを見ただけで同じ手術ができる人はすでに相当に経験をつんだ人で,一般的には手術書を読むよりはよく理解できるという程度であろう。ビデオはまさに手術のエッセンスであり,手術中にしばしば遭遇する出血をいかに止血するかなどということは学び得ないし,知っていると便利なちょっとしたこつが画面には現れないのが普通だと思う。
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