日本泌尿器科臨床史・25
泌尿生殖系臓器名の歴史的変遷(3)
友吉 唯夫
1
1滋賀医科大学
pp.348-349
発行日 1993年4月20日
Published Date 1993/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900943
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精巣被膜
まず『解體新書』(1774)から精巣被膜についての記述を見ると,「膜」という字は出てこないが,次の三つの構造が精巣を包むものとされている。
①薄肉様:挙筋ト名ヅケ,コレ睾丸ヲシテヒラシメ ル
②莢様:能ク睾丸ヲ裹ム
③白色:其ノ属スル所ノ者ヲ裹ム
「莢」は豆類の実を包む外皮(さや)のことであるから,きわめて適切な字であった。後年,鞘膜に変更されるまで莢膜の名で用いられたのである。
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