増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
尿路結石
感染性結石
金村 三樹郎
1
,
横山 正夫
1
1虎の門病院泌尿器科
pp.206-207
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900912
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感染性結石とは
尿路結石症例では尿路感染をしばしば伴っている。尿路結石と尿路感染との関係はどちらが原因でどちらが結果であるか二つの場合が考えられる。蓚酸カルシウムや尿酸,シスチンなどは感染と関係なく発生し代謝結石と呼ばれるが時に二次的に尿路感染を伴う。燐酸マグネシウムアンモニウム(struvite)や燐酸カルシウム炭酸塩などは尿路感染がもとで結石が形成され感染性結石とも呼ばれ,多くの場合尿路感染を伴っている。稀な結石ではあるが尿酸水素アンモニウム結石も感染が原因であると考えられる。尿路に感染する細菌のうちProteus, Pseudomonas, Klebsiellaなどはureaseを産出しアンモニアを生成する。この結果,尿はアルカリ性となりアルカリに不溶性な燐酸塩,特に燐酸マグネシウムアンモニウムなどが析出し結石が形成されやすくなる。細菌や感染による脱落細胞などの有機物も多くなり,基質が増加して結石形成を促進する。感染性結石は一旦形成されると急速に増大し腎ではしばしばサンゴ状結石となる。下部尿路結石として発見されることも多い。尿中のみでなく結石内にも細菌が証明されることが多く,単なる抗生物質投与では尿路感染の治療は困難である。さらに腎機能も急速に悪化しやすい。
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