連載 ほんとうは怖いアニメーション・5
いつものママじゃない
横田 正夫
1
1日本大学文理学部心理学教室
pp.104-105
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100958
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「クレヨンしんちゃん」は、大変人気のあるアニメーションで、主人公のしんちゃんは5歳児である。下ネタが多く、おチンチンをゾウの鼻に見立て、ゾウの顔をお腹に描いて、「ゾウさんゾウさん」と揺すり、お尻を丸出しにして「ケツだけ星人」とカニ歩きをする。母親に向かって、みさえの胸は小さいと言って怒りを買う。父親のひろしも、おじいちゃんもしんちゃんと一緒になって、下半身を丸出しにして、ゾウさんを見せ合う。なんとも大らかな性の饗宴である。性的な表現は、ふつう露わにしないよう社会的に訓練されていくが、アニメーションやその原作漫画では、ものの見事に無視される。
みさえは、怒るとげんこつをしんちゃんにくらわす。アニメーションでは「げんこつ」と字幕が出て、しんちゃんの頭にタンコブが、2段重ねで描かれる。殴るところを描いていないにしても、子どもへの暴力は日常的である。両手の握りこぶしをこめかみにあててグリグリとするものや、頬を引っ張るものもあり、お尻をたたくこともある。それにもめげずに、しんちゃんは過活動で、行動を改めることはない。
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