交見室
宿題報告「Quality of Lifeを考慮した尿路再建術」を聞いて,他
三品 輝男
1
1三品泌尿器科医院
pp.898-899
発行日 1992年10月20日
Published Date 1992/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900712
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本年4月16〜18日の3日間,東京大学医学部泌尿器科学教室主催(会長:阿曽佳郎教授)の下に第80回日本泌尿器科学会総会が行われました.第1日目に国立がんセンター院長垣添忠生博士は「Qualityof Lifeを考慮した尿路変更術」と題して宿題報告をされました.本講演は5つの項目より成り立っていましたが,中でも膀胱癌に対する全摘後の膀胱の再建に関して,自然排尿型の手術を男性24例,女性2例に施行された報告が大変印象的でした.代用膀胱形成法として男性5例,女性2例に施行されたハウトマン術式が,①手術の容易さ,②術後機能の良さ,③膀胱内圧,④腎機能の4点で満足すべき術式と結論されました.
女性に対する膀胱全摘後の自然排尿型代用膀胱形成術は,術後の尿失禁などが予測されるため従来禁忌とされ試みられたという報告もなかったように思います.垣添先生は,女性剖検例を用い,尿道括約筋,自律神経の走行などを十分検討されました.この二つの基礎的検討の結果,女性にも男性と同様に膀胱全摘後に自然排尿型代用膀胱形成術が可能と判断の上,1991年,女性2例に対して完全な膀胱全摘を実施し,尿道のみを残し,これに回腸膀胱を吻合することにより満足すべき術後のQOLを達成されたと報告されました.
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