小さな工夫
体外衝撃波砕石術施行時の真空ギプスによる体位の固定
西本 憲治
1
,
安川 明廣
1
1尾道総合病院泌尿器科
pp.793
発行日 1992年9月20日
Published Date 1992/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900685
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当院に設置されている体外衝撃波破砕装置の機種では,患者は水平な法療台に横たわり,結石の照準は超音波で行い,衝撃波は治療台の上方から下方へ発射される.したがって,治療体位は腎結石では主として腹臥位,下部尿管結石では仰臥位となるが,上部尿管結石では腹臥位から側臥位にわたる種々の斜位となる.この斜位の体位の維持のために,枕やさまざまに変形したスポンジを患者と治療台の間にはさみ体の固定を行ってきた.しかし,長時間の治療あるいは疼痛が強度の場合は治療中に徐々に体が動き衝撃波の焦点が結石からずれるため,照準を合わすべく超音波による微調節が頻繁に必要となっていた.
これに対して最近われわれは,主に手術体位の固定に使用されている57×180cm大の全身用真空ギプス(イージートップ®)を治療台に置き,その上に患者を横たえ体位の固定を計っている(図).枕やスポンジを用いる固定と異なり同じ体位の持続が容易となり,長時間の斜位においても患者は疲れを訴えることがほとんどなくなった.また疼痛を強く感じる症例では衝撃波の発射の第1発目において大きく体が動き焦点がずれることがあったが,真空ギプスの使用により体は容易に元の位置に戻るため焦点のずれは少なくなった.腹臥位に近い体位においては軽度の胸部圧迫感があるが,患者の吸気時にギプスを真空状態にすることにより症状は軽減する.
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