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大阪市立大学医学部泌尿器科学教室は,創立以来存在した皮膚泌尿器科学教室から1963年に分離独立し,初代教授として田村峯雄教授(現名誉教授)が就任され,大阪労災病院から前川正信現教授が助教授として招請されて現在の教室の基礎が築かれた.新しい教室といっても十分な予算もなく,診療、実験器具も不備であったが,新しい教室の創造という意欲と情熱により運営され,建設されて来た.
この教室創成期に参加した先輩達は,昼食は医局員みずから交代で炊出しを行い,全員で文字通り同じ釜の飯をとることを行った.また新入医局員は連日当直,即ち起居を共にした.この苦労は現在の医局員の想像を越えるものである.しかし,人の和,情熱で新しい教室の運営は出来ても,飛躍,進展できるものでない.より良い診療を提供し,独創性豊かな研究が行われて,教室の発展が期待できるのである.この意において教室では一般泌尿器外科以外に慢性腎不全対策に取り組み,関西で最初に人工透析療法を導入すると共に,透析,特に血液浄化法の研究開発と透析患者の病態生理の基礎的ならびに臨床的研究を開始した.これらの業績は国内外から高い評価を受け,現在にまで引き継がれ斯界に貢献している.泌尿器科の分野においても当時の松永武三講師(現新武三春木病院院長)がインターセックスに関する研究で1966年第25回坂口賞を受賞している.このように独創的な診療と研究により,患者さんの信頼と若い医学生に魅力を与え,順調な発展をして来たといえる.独立当初わずか7名でスタートした医局員が現在では72名と増え,教室には在籍しなかったが,教室に対し直接あるいは間接的に御協力と御指導を頂いている同窓会友を合わせると107名に至っている.関連病院も公私合わせて21施設となり,それぞれの地域医療に対する責務を果たさせて頂いている.
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