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当教室は,昭和19年5月本学の前身である東京医学歯学専門学校に,故原田儀一郎教授をお迎えして皮膚泌尿器科学教室が開講されたのに始る。その後昭和21年8月東京医科歯科大学となり,35年6月には泌尿器科が分離してそれぞれ独立講座として発足,現在に至つているが,開設以来長年にわたつて手狭をかこつていた病棟,研究棟も本年5月19日に一応完成,この間大学自体の膨張もあつて,計画当初に予期したほどの余裕はないとはいうものの,初めて各科が教室の形態を整えることが出来た。開講以来,大学というには余りにも貧弱な施設の中で,常に内外の充実に努力して来られた原田教授が,その完成を目前にした昨年11月他界されたことは,まことに残念というほかはない。
さて教室の現況を紹介すると,昨年12月16日,第2代教授として着任された清寺真先生を筆頭に,以下助教授1,講師2,非常勤講師1,助手7,副手3,大学院学生3,専攻生8(うち1名はタイ国留学生),技能員3,計29名(うち2名は米国,1名は西独にそれぞれ留学中)が日夜研鑚しているが,とくに清寺教授の御着任後は,従来のレパートリイになかつた新しい分野──Melanin──が導入されて,その消化と発展に全力をあげる一方,診療,学生指導など種々の面においても教授の情熱が反映して,まことに生気溢れる昨今となつている。教室の主たる研究内容をあげると,教授を中心としたMelanin生成に関する研究,山田助教授を中心とした薬剤アレルギーの研究,石田講師を中心としたスルフォンアミド剤の研究の3主題があり,教室員はそのいづれかのグループに属しているが,中でもやがて教室に設置される電子顕微鏡のグループは,目下講習に,実習に大童の毎日である。漸増傾向を示す200名の外来患者,17床の病棟患者の診療以外に,教室の定例行事としては,型通りの抄読会,病理組織デモのほか,近々定期的な他大学との合同セミナーが予定されており,また本年度よりの外国との人事交流や,過日H. Pinkus教授を招いて開催したセミナーのごとく,あらゆる機会を利用して密度の濃い研究を続けて行くことを念願としている。
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