小さな工夫
女性の膀胱異物にエンドループ®を使用する方法
神田 裕佳
1
,
藤﨑 明
1
1聖隷浜松病院 泌尿器科
pp.991-992
発行日 2024年11月20日
Published Date 2024/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413208259
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女性の膀胱異物は日常診療でまれに経験する疾患である.多くは自慰行為や性的行為を目的としたもので,異物の種類は体温計,針,ヘアピンなどに加え,最近は女性用アダルトグッズの報告も散見される.膀胱異物が疑われたら超音波,X線,CTなどの検査で異物の性状や形態などを確認し,膀胱穿孔の所見がなければ経尿道的アプローチで除去を試みる.今回,腹腔鏡手術で用いるループ結紮器(エンドループ®)が女性の膀胱異物除去に有用であった症例を報告する.
症例 : 41歳女性,性行為時に尿道内へ金属製アダルトグッズを挿入したが膀胱内へ迷入したため来院した.X線検査で長さ7cm,幅0.5cmで,末端が球形である異物を認めた(図1).腰椎麻酔下で経尿道的に鉗子を用いて異物除去を試みたが,末端の球形の部位が滑り把持できなかった.異物先端の把持を試みたが異物を把持できず,院内にある複数の鉗子を用いても抜去ができなかった.結石治療で用いるバスケット鉗子の使用や透視下にペアン鉗子を挿入する方法を検討したが,把持力の問題や盲目的な操作に伴う膀胱粘膜の損傷のリスクを考慮してエンドループ®を用いた.エンドループ®は吸収性縫合糸(PDS)をループ状にしてカニューラに収納した内視鏡手術用ループ式結紮器であり,われわれは鏡視下尿膜管切除術に使用することがある.エンドループ®を膀胱内へ挿入後に硬性膀胱鏡を挿入,鉗子で異物の位置を調整しながら,異物末端の球形の部位をループで結紮した(図2).慎重に異物を引き出したところ尿道をスムースに通過し,異物除去後の観察で膀胱粘膜や尿道に損傷は認めなかった.
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