特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン
企画にあたって
石川 清仁
1
1藤田医科大学病院医療の質・安全対策部 感染対策室
pp.87
発行日 2022年2月20日
Published Date 2022/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207433
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2015年5月の世界保健総会では,「薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」が採択され,加盟各国は「2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定すること」を求められた.わが国でも厚生労働省を中心に議論が行われ,2016年に初めてのAMRアクションプランが策定された.2020年までの成果指標として,抗菌薬の販売量(全体)を2013年と比較して33%の減少,広域抗菌薬である内服セファロスポリン系薬,内服フルオロキノロン系薬,内服マクロライド系薬をそれぞれ50%減少させることを目標としている.これを達成するため,厚生労働省は「抗微生物薬適正使用の手引き」を公開し,「急性気道感染症」と「急性下痢症」診断時のウイルスの関与を指摘し,安直な広域経口抗菌薬の投与を戒めた.
一方,手引きから外れた「尿路性器感染症」は病原微生物の多くが細菌性であり,検鏡で細菌が確認できれば診断も容易である.そのため,抗菌薬投与が治療の第一選択となることに異存はないが,問題は選択されるべき抗菌薬の種類である.わが国と欧米諸国では明らかに尿路性器感染症時に処方される抗菌薬に違いがある.その結果,わが国の尿路性器検体から分離されたキノロン耐性大腸菌,ESBL産生グラム陰性桿菌,セファロスポリン耐性菌,多剤耐性淋菌等の検出率は右肩上がりの状態である.
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