特集 腎癌に対する薬物療法─最新エビデンスを実臨床に活かす
企画にあたって
三宅 秀明
1
1浜松医科大学医学部泌尿器科学講座
pp.11
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206164
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2008年に2剤の分子標的薬が実臨床の場において使用可能となって以降,腎癌に対する薬物療法は今なお現在進行形で変革の最中にあると言っても過言ではありません.6種類の分子標的薬に加え,2016年からはImmuno-Oncology(I-O)drugであるニボルマブも保険収載されました.さらに2017年にはI-O drugの併用療法を1st-lineで導入することによる予後改善効果が報告され,現在も分子標的薬とI-O drugの併用療法の効果を検証する複数の臨床試験が進行中であり,近い将来,腎癌に対する薬物療法の指針がまたもや大きく変化するのは必至の情勢です.
次々と新規薬剤が使用可能となり,腎癌患者に対する薬物療法の選択肢が増加すること自体は大変好ましく,サイトカイン療法時代に比べ昨今の進行腎癌患者の予後は間違いなく改善しています.一方で,これほど短期間に多様な薬物療法が登場してくると,臨床現場は,“福音”と“混乱”が背中合わせの微妙な状況にあるのではないでしょうか.実際,「逐次治療」「副作用対策」「バイオマーカー」「医療経済」等々,本領域の問題点を象徴するキーワードは枚挙に暇がありません.しかし,この状況を“福音”とするのも“混乱”とするのも,結局はわれわれ泌尿器科医の見識次第であると思います.
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