増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
10 周術期
術後愁訴と合併症
腰椎麻酔後の頭痛
峰村 仁志
1
,
田中 聡
1
1信州大学医学部麻酔蘇生学教室
pp.288-291
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205662
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疾患の概要
脊髄クモ膜下麻酔後には,脳脊髄液が穿刺部位から硬膜外腔へ漏出することにより頭痛が生じる.その発生機序として,脳脊髄液圧の低下による脳底部神経組織の尾側への牽引や,脳血管の代償的拡張が考えられている.『国際頭痛分類第2版』ではこれを硬膜穿刺後頭痛(post-dural puncture headache : PDPH)と定義し,①15分の座位または立位で悪化し,15分の臥位で軽快すること,②項部硬直・耳鳴・聴力低下・光過敏・悪心のいずれかを伴うこと,③硬膜穿刺後5日以内に出現すること,④症状出現より1週間以内に自然消失し,硬膜外血液パッチ法後には48時間以内に消失することなどを特徴としている.近年の報告では,発生頻度は1〜10%程度であり,リスクファクターとして,①女性,②中年(31〜50歳),③PDPHの既往,④太い針による硬膜穿刺,⑤硬膜穿刺時に穿刺針のベベルが脊柱長軸に垂直であったことなどが挙げられている.
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