最近の外國外科
—England—腰椎穿刺による頭痛,他
G. W. Pickering
pp.154-156
発行日 1950年3月20日
Published Date 1950/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200622
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ピッカリング氏は脊髄硬膜腔穿刺後に頭痛の起ることは敢て珍しいことではないが,この場合の頭痛は頭の顧頂全体に多少あり得るが,しかし,屡々特に後頭部に劇しくあつて,その疼痛が頸,肩,背に放散する. ことがある. そして頸が強ばつた樣な感じがする. 又この頭痛が他の頭痛と異なる特点として,患者が起き上ると強くなり,横臥すると軽くなることである. 頭痛は穿刺後数時間乃至数日後に起つて,通常24時間或はそれ以上継続する. ピッカリング氏は腰椎穿刺後の頭痛患者11名を観察し且つ調査したが,その中の7名の脊髄液の圧を測定して見た. その結果,脳脊髄液の圧は水平体位で6例は大気圧と約同等で,1名は正常圧よりも低くあつた. この7名のものに等張圧の食塩水30〜50ccを脊髄硬膜腔内に注射したが,これによつて脳脊髄液の圧を正常或はそれよりも稍々高くすることが出来た。そして頭痛は直ちに去った. 頭痛は何れの症例でも起坐すると増加し,横臥すると軽減した. 頸部で頸靜脈を圧迫したり,頭を振つたりすると増加したが,頭痛は屡々搏動性で脈搏に一致して感じ,症例の半数では頸部で頸動脈を圧迫すると軽減した.
著者は腰椎穿刺による頭痛は脳の基底部及び後部で,それを支持している組織,殊に頭蓋底の大血管の周囲にある組織が緊張されるように脳が後方に移動するためであると考えている.
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