増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
9 腫瘍
標準治療
去勢抵抗性前立腺癌
猪口 淳一
1
,
江藤 正俊
1
1九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野
pp.183-187
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205634
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疾患の概要
去勢抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer : CRPC)とは,一次内分泌療法であるアンドロゲン遮断療法(androgen deprivation therapy : ADT)後に治療抵抗性となった前立腺癌の状態である.転移性前立腺癌に対して一次内分泌療法はよく奏効するものの,数か月から数年の間に多くの症例がCRPCの状態となる.『前立腺癌取扱い規約第4版』によれば,「外科的去勢,薬物による去勢状態で,かつ血清テストステロンが50ng/dL未満であるにもかかわらず,病勢の増悪,PSAの上昇をみた場合」と定義され,CAB(combined androgen blockade)療法などで用いられる抗アンドロゲン剤の投与の有無は問われない.また,PSAの上昇は4週間以上あけて測定したPSAの最低値から25%以上かつ2ng/mL以上の上昇と定義されている.
去勢抵抗性獲得については,さまざまな機序が提唱されているが,特にアンドロゲンレセプター(AR)を介した増殖刺激経路が重要な役割を担っている.本邦ではARシグナルを標的とした新規治療薬の保険承認により,CRPCの治療戦略はここ数年で劇的な変化がみられている.
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