増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
1 尿路・性器の感染症
尿路感染症
急性精巣上体炎
富田 祐司
1
,
近藤 幸尋
2
1日本医科大学武蔵小杉病院泌尿器科
2日本医科大学医学部泌尿器科学教室
pp.29-31
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205581
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疾患の概要
急性精巣上体炎は急性陰囊症の1つで,精巣上体の急性炎症である.原因微生物が尿道から精管・精巣上体に達し,引き起こされる.性活動期の青壮年症例では,淋菌やクラミジアが原因微生物として多くみられる.思春期以前・中年以降は大腸菌などのグラム陰性桿菌が原因微生物であることが多い.結核の既往がある症例や免疫不全の症例では,結核性精巣上体炎も可能性がある.また,サルコイドーシスやベーチェット病などの膠原病,アミオダロンなど抗不整脈薬の服用に起因する非感染性の精巣上体炎も存在する.
片側陰囊の腫大・疼痛を認め,発熱や下部尿路症状(頻尿・排尿障害・尿意切迫感)を伴うこともある.急性陰囊症には精索捻転症など緊急を要する疾患もみられ,他疾患との鑑別が重要である.精巣上体炎では超音波で精巣上体の血流増加を認め,精索捻転では血流低下・消失を認めることが多い.
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