文献抄録
上部尿路の粘膜癌に対するBCG注入療法
pp.1072
発行日 1989年12月20日
Published Date 1989/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205117
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BCG注入による膀胱粘膜癌(ca.in situ)の治療の有効性は,既に多数の報告から明らかである。その作用機序についてはなお不明な点はあるが,BCGが粘膜癌表面に接することが最も重要であることも明らかとなっている。そこで著者らは上部尿路の粘膜癌に対して本法を行って,その結果を報告している。
患者は8名で66歳から86歳に至る高齢者で,長期にわたる膀胱癌の治療の既往があるが,現在は軽快している。患者の既往歴については,8名中4名は膀胱癌の内視鏡的切除とBCGの注入療法をうけており,3名は浸潤癌にて膀胱摘出と回腸導管手術をうけている。1名は単腎にみられた腎盂癌にて開腹切除術を行っている。尿細胞診のために全例に尿管内に7Fカテーテルを留置して採尿し,腎孟の洗浄による尿のサンプルも採取した。6例は1側尿管の細胞診陽性で,2例は両側尿管の細胞診が陽性であった。膀胱摘出をうけていない5名の膀胱生検ではca.insituの所見は認められない。
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