文献抄録
摘出不能の上皮性膀胱癌に対するCISCA化学療法について
pp.322
発行日 1989年4月20日
Published Date 1989/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204958
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Cisplatinが膀胱癌の化学療法剤として用いられて以来,高率に治癒率が向上ししばしば根治例が報告されるようになった。著者らは1977年以降,Cisplatin,Cyclophosphamide,Doxorubicinの三者併用による化学療法(CISCA法)を行って,有転移性の摘出不能の膀胱癌を治療しその結果を報告している。症例は1977年から1985年までに,97例の摘出不能の膀胱癌に対してCISCA法を行ったものである。薬剤の投与方法は,治療開始の第1日目に650mg/m2のCyclophosphamideを静注し,第2日目に50mg/m2のDoxorubi-cinを点滴にて投与する。第3日目にはCisplatin 100mg/m2を利尿剤のマニトールを加えて点滴注入する。この3剤投与を3〜4週の間隔にて継続する。Cisplatinは腎機能の低下がみられる時には70mg/m2に減量して与えた。
97例の症例はCISCA治療以前に放射線照射治療をうけていた例は45例で,膀胱摘出術後例は29例,また膀胱の部分切除例は5例であり,いずれの症例も計測可能な転移巣を持っていた。転移巣については,膀胱近接組織と所属淋巴節転移の者は62例,遠隔転移の者は35例であった。症例の組織学的所見では,移行上皮癌74例,移行上皮癌との混合腫瘍20例,扁平上皮癌3例である。
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