文献抄録
直腸診による前立腺癌の大きさ判定と摘出組織診の復原像との比較
pp.112
発行日 1987年2月20日
Published Date 1987/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204424
- 有料閲覧
- 文献概要
直腸診は前立腺癌のstage,殊にB1とB2の判定鑑別のために広く利用されている。触診で癌のstageを知ることは,治療法の選択や予後の判定に欠かせないことである。従来から直腸診によるstage判定の不正確さを報告した論文は多数あるが,著者らの研究の特徴は,前立腺癌表面の触診所見の地図と全摘した前立腺癌を連続切片で組織学的に検索復原した癌の拡大浸潤域を比較し,その相違について検討した論文で,このような報告はまだ見ない。検討対象の症例は17名で,うち16名は針生検で,組織学的に癌を確認したが,1名は触診所見は正常であつたが,TURPで癌がたまたま発見された。この17名については,骨スキャン,骨盤腔のCTスキャン,前立腺性酸性フォスファターゼを検索し転移の有無を検査したが,すべて陰性であつた.前立腺の触診については,1人の医師が担当し,その硬結部の所見は,その位置と大きさを前立腺表面の地図上に示した。全摘術は恥骨後式に行い後腹腹のリンパ節郭清も同時に施行した。摘出前立腺は先端から基部まで3mm間隔で横断の連続切片を作り,更に各ブロックを7μの切片にして顕鏡して,癌浸潤の大きさ,その辺縁をスライドにチェックした。この横断面顕鏡所見から前立腺癌の大きさを復原し,前立腺表面から1cmの深度までの浸潤所見を触診で作つた地図に照合した。論文中には各症例について照合の地図が示されている。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.