Japanese
English
講座 性行為感染症(STD)の診断と治療
I.性行為感染症の疫学
Diagnosis and Treatments For Sexually Transmitted Diseases (1): Epidemiology of STD
津上 久弥
1
,
大里 和久
1
Hisaya Tsugami
1
,
Kazuhisa Osato
1
1大阪府立万代診療所
1The Osaka Prefectural Bandai Clinic for STD
pp.27-34
発行日 1985年1月20日
Published Date 1985/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203957
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はじめに
性行為感染症(STD)とはSexually TransmittedDiseasesの略称である。性病とは本来性的接触によつて皮膚や粘膜から感染する疾患のことであるが,わが国の法律では梅毒,淋病,軟性下疳,鼠径リンパ肉芽腫症の4疾患を性病と指定している。外国においても同様の考え方で,古くからVD (Venereal diseases)と呼ばれていたが,戦後,性の解放による性交様式の多様化が進むという社会的な背景に加え,病原体検出技術の進歩や,病害の認識や疫学的解明が進むにつれて,従来のVDのわくに収まらない,多くの疾患が注目されるようになつてきた。そのため第1表に示すような諸疾患を広く含めて,STDという概念が1975年頃から国際的に定着し,VDにかわつて呼称されるようになつた。
これらSTD疾患の中には,感染様式が主として直接性交によるものと,必ずしも性交によらない一般疾患と考えられているが,STDともなり得るものが含まれている。
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