小さな工夫
精巣上体摘除術における超音波血流計の応用
山中 望
1
,
増田 宗義
2
1神鋼病院泌尿器科
2陸上自衛隊阪神地区病院泌尿器科
pp.149
発行日 1987年2月20日
Published Date 1987/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204432
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近年,化学療法の進歩や性器結核の減少により,精巣上体摘除術を行う機会は少なくなつているが,泌尿器科領域において重要な手術法であることに変わりはない。初心者には比較的難しい手術と思われるが,われわれは研修医の指導にあたり,超音波血流計を使用させて良好な結果が得られているので報告する。
精巣および精巣上体を露出させたのち,まず,精管を剥離して切断する。次に,精巣と精巣上体との問を剥離するが,通常は精巣上体の体部から尾部,さらに頭部へと進められる。特に頭部の剥離にさいしては,精巣動脈を損傷しないように慎重に行わなければならないが,ここで超音波血流計を使用する。すなわち,直径5mmのペンシル型プローブ(付図)を精索に軽く接触させると,精巣動脈の直上では,動脈性の血流音が明瞭に聴取されるので,血流音を聞きながら精巣側までたどれば,その走行が明らかにされる。以上の操作により,精巣動脈を損傷することなく安全に剥離を進めることができる。
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