Case Study
病的骨折を伴う前立腺癌
吉田 和弘
1
1日本医科大学泌尿器科
pp.601-604
発行日 1981年6月20日
Published Date 1981/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203169
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67歳,男性,農業。
入院の約1ヵ月前より腰痛,両肩部痛を覚えたため某国立病院整形外科を訪れた。X線検査にて特別の異常なしと診断され湿布療法,鎮痛剤投与をうけた。しかし,疼痛は改善せず,次第に大腿部しびれ感,両上下肢脱力感,歩行困難と症状が急激に増悪した。突然に右視力低下,複視に伴い眼球運動不能となり某市立病院内科に緊急入院した。頭部CT検査では出血巣を認めず,神経学的検査より脳硬塞の疑いでウロキナーゼ60,000単位/日,点滴静注による抗凝固療法を行なつていた。全身しびれ感,脱力感ならびに右眼球運動障害は徐々に改善傾向を示していたが,入院第12病日に家人が患者の上腕をマッサージしていたとき,突然に"ボキッ"という音とともに左上腕骨骨折をした。骨折部X線像(第1図)は病的骨折であり,転移性腫瘍の疑いにてGISが施行された。結果は異常所見を認めなかつた。
入院時検査所見にて顕微鏡的血尿,血清アルカリフォスファターゼおよびLDH値の上昇を認めたため泌尿器科領城の検索のため紹介された。家族歴に特記することはない。約10年前より降圧剤の投与をうけていた。
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