交見室
抗癌剤膀注併用温水圧療法について,他
岡田 清己
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1日大泌尿器科
pp.1206-1207
発行日 1980年12月20日
Published Date 1980/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203075
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臨泌34巻10号掲載の石塚氏らの「抗癌剤膀注併用温水圧療法」(以下本法とする)はわれわれにとつて非常に興味のある論文であつた。膀胱腫瘍の保存的治療法のうちで,抗癌剤注入療法,水圧療法,温水療法などの手技,成績,副作用,予後に関してはすでに発表され,それぞれの長所,短所も明らかとなつてきている。そのことから,本法はこれら三療法の長所を兼ね備えていることが期待される。すでにLudgateら(Brit.J.Urol.,1976)は温水療法に水圧療法をやや加えた結果を報告し,腫瘍に対する効果と,膀胱出血の止血効果をあげている。ここで温水療法単独と比較しつつ,本法に対する私見をのべたい。
1)手技:実際に知る必要のあるのは腫瘍温度である。われわれは手術時に直視下で腫瘍温度測定を試み,流入温度46℃,流出温度45℃のとき,腫瘍温度は44℃近くであることを確認し,流出温度45℃を標準の温水療法時の温度と設定している。しかし,これは平均値であつて,流入速度,腫瘍の部位,大きさ,腫瘍内血流分布などで温度差があると考える。本法では膀胱内温度を42℃と定めているが,その基本となつた考え方,測定方法などもう少し明らかにしてほしい。
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