交見室
後腹膜病変の診断におけるCTの役割,他
蜂屋 順一
1
1関東逓信病院第二放射線科
pp.1014-1015
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203042
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後腹膜病変の診断にコンピュータ断層撮影(CT)が新たに加わつたことは,全身の各領域におけると同様に日常の臨床における診断的検索のすすめ方に少なからぬ変革をもたらしつつある。後腹膜腔はその豊富な脂肪組織のおかげでCTによる解剖学的諸構造の画像化が最も鮮明に達せられる領域であり,後腹膜腔に生ずる種々の疾患はCTの最も好適な対象にかぞえられる。既に数多くの論文が発表されているが臨泌34巻7号の加藤哲郎氏らの「後腹膜病変の鑑別診断におけるCTの役割」は本邦の泌尿器科医のこの方面に関する経験と見解を示すものとして興味深く拝読した。
後腹膜腔におけるCTの評価は一般には超音波断層よりもやや高い。これはCTでは骨,腸管が画像構成の障害とならず,これらをも含めた隣接諸臓器と病変との関係が解りやすい形で描出されること,副腎や後腹膜リンパ節の描出が超音波より概して容易で正確であることなどいくつかの理由があるが,一方において体軸方向の病変や正常構造の描出がCTでは不可能なこともあつて,超音波とCTとは必要に応じて相補的に用いられる傾向にある。
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