講座
臨床医のためのコンピュータ入門(5)—病院における情報処理技術の利用
開原 成允
1
1東京大学医学部付属病院情報処理部
pp.437-440
発行日 1979年5月20日
Published Date 1979/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202742
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これまで,情報科学の手法が医学の個々の分野に応用された例を眺めてきたが,今回はこうした手法が総合化された形で病院に利用される場合を考えてみることにしよう。病院は病人の診療を目的として多くの部門が有機的に協力している複雑な組織である。このため,この中で発生し処理される情報は莫大であり,ここにも情報科学的手法が役に立つ場面があると思われる。
このことを考える前に情報科学的手法を実現するための道具であるコンピュータの機能について遅まきながらここで整理をしておくことにしよう。コンピュータは,その名前が示すように計算をする機械である。しかし,コンピュータの機能は計算だけにあるのではない。利用者の側からみると,①計算,②データの編集,③印刷,④データの蓄積と検索,⑤データの伝送の五つの機能をもつていると考えることができる。このそれぞれの機能は,一つ一つ説明を要さないと思われるが,コンピュータはその応用の立場によつては「計算」よりは他の機能のほうがはるかに重要であることが多い。前回に解説した情報サービスは,この中のデータの蓄積という機能を利用したコンピュータの使い方であつた。
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