シンポジウム 血管カテーテル法による診断と治療・2
腎癌の抗癌剤動注療法—特にembolizationとの併用療法について
佐々木 忠正
1
Tadamasa Sasaki
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
pp.147-149
発行日 1979年2月20日
Published Date 1979/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202694
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緒言
腎癌患者の死因の多くは転移死であり,その治療成績を向上させるためには外科療法の限界を越えて存在する局所の再発と遠隔転移をいかに治療するかがきわめて重要な問題である。ここに化学療法に対する期待があるわけであるが,今日行なわれている化学療法には限界があり,臨床的にどのような抗癌剤を選択しどのように投与するかは経験のつみ重ねによつて決定せざるをえないのが現状である。腎癌組織は1〜2,3本の主要な栄養血管によつて支配されており,投与経路に腎動脈を利用できる動注療法は,高濃度の薬剤を注入できるため腎癌の治療において期待される治療法の1つである。しかし,有効薬剤や薬剤の選択基準がないことより,実際にはほとんど行なわれていない。教室では化学療法の効果を高める1つの手段として局所動注法に着目し,腎動脈内5Fu持続動注とMMCのone shot動注を行ない,その治療成績について既に報告した。動注療法は,方法論として多くの利点をもつているが,感受性抗癌剤がないことと関連して抗腫瘍効果,とくに腫瘍縮小効果は十分でなかつた。私のテーマは抗癌剤動注療法であるが,従来の方法では腫瘍縮小効果が不十分であるため,動注療法の効果を高める1つの試みとしてembolizationを組み合せた治療法を選択し,その併用効果について検討した。併せて動注療法の今後の展望についても考えを述べてみたい。
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