交見室
腎出血とIgA腎症/S状結腸癌による膀胱への影響について
仁藤 博
1
1武蔵野赤十字病院泌尿器科
pp.1174
発行日 1978年12月20日
Published Date 1978/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202669
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本誌「肉眼的血尿を主訴としたIgA腎炎の1例」(32巻6号,北村ら)を興味深く読ませて頂き,このような例が泌尿器科外来を訪れる患者にあることを改めて認識させられました。私も,腎生検をしていませんがIgA腎症ではなかろうかと思われる患者を現在5名follow upしています。このうち学校検診により紹介されて来たいわゆるchance hematuriaが3名いますが,〔①IgA腎症の唯一の診断根拠は腎組織の螢光抗体法所見〕でありますから,良性(少なくとも現時点までですが)で反復性の腎出血患者のうち血清IgA値の比較的高値のもの(IgA腎症でこれが必ずしも高い必要はありませんが)で,C3,C4も共に正常のものを,腎生検していませんが一応そう考えている次第です。東大例とやや違うのは,私の患者では蛋白尿がごく軽微かまつたくみられないもののみでありまして,〔②蛋白尿の程度のつよいもの(成人で1日およそ1gくらいあるもの)は,予後のわるい可能性がある〕ので,高血圧を伴うものと同じ扱いで腎内科にconsultしております。
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