文献抄録
Cis-Diamminedichloroplotinumによる進行性膀胱癌治療について
pp.643
発行日 1978年7月20日
Published Date 1978/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202581
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白金化合物cis-diamminedichloroplatinum〔Ⅱ-NSC119875〕(以下CDDPと略)が,膀胱癌に用いられたのは1973年であるが,当時は副作用として腎,聴覚障害が強く認められた。そこで著者らは投与方法を改良した治療成績について予報的に報告している。
CDDPで治療した症例は19例で,Stage D 14,StageC3,Stage B2例で,いずれも外科的,放射線治療後に再発転移をきたした進行癌例である。CDDPの投与法は1mg/kgとして37.5gのマニトール,40mEqの塩化カリを5%2,000mlのデキストローゼに加えて6ないし8時間かけてゆつくり点滴静注する。これを週1回,6週間継続し,その後は3週に1回投与する。点滴の翌日には各種の血液化学的検査,聴力検査を実施した。治療成績を総括的にみると,腫瘍とその転移巣の完全消失をみた例は,Stage Dで1名(5%)で,6ヵ月間そのままで経過したが心疾患で死亡した。腫瘍と転移巣が1/2以上縮少したいわゆるpartial remmisionを示した例は8例(42%)に認めた。内訳はStage D7,StageB1例である。また腫瘍に原因する疼痛の完全消失がStage Dで1例で,この薬剤にまつたく反応しない例が7例にみられた。
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