診療controversy medical decision makingのために 多発性硬化症のインターフェロン導入時期
Clinically isolated syndrome(CIS)のときから導入
郡山 達男
1
1広島市立広島市民病院 神経内科
キーワード:
MRI
,
脱髄疾患
,
多発性硬化症
,
髄液
,
治療成績
,
大脳萎縮
,
Oligoclonal Bands
,
Interferon Beta-1a
,
Interferon Beta-1b
Keyword:
Interferon beta-1a
,
Interferon beta-1b
,
Cerebrospinal Fluid
,
Demyelinating Diseases
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Multiple Sclerosis
,
Treatment Outcome
,
Oligoclonal Bands
pp.143-149
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011078937
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多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)患者の85%はclinically isolated syndrome(CIS)と呼称される、最初は単一の臨床症状を呈する。CIS患者の38~68%は臨床的に確実なMS(clinically definite MS:CDMS)へ進展する。CISの段階から神経軸索障害がみられ、この神経軸索障害の蓄積は不可逆的な身体機能障害へ進展する。この神経軸索障害を予防し、身体機能障害の進行を抑制する治療はできる限り早期から開始されるべきである。インターフェロンβ(interferon β:IFNβ)は、CISからCDMSへの進展を44~50%有意に抑制する。また、CISの早期からIFNβを開始すると、遅延して開始するのと比べてCDMSへの進展を35~37%有意に抑制する。CIS患者の50~80%は頭部MRIで異常を有し、頭部MRI異常を有するCIS患者の56~88%がCDMSへ進展する高リスク群である。CISのすべての症例がMSへ進展するわけではないことから、CDMSへ進展するリスクが高いと思われる、MRIでの空間的多発性および時間的多発性が認められ、McDonald診断基準でMSと診断できるCIS患者がIFNβ治療の適応となる。
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