交見室
脊損膀胱について/下大静脈の変位について
駒瀬 元治
1
1埼玉医大泌尿器科
pp.86
発行日 1978年1月20日
Published Date 1978/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202492
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脊髄損傷患者に対する尿路管理の適否は,その患者の予後を左右する重大な要素の一つであることは,今さらいうまでもないことである。脊損膀胱の病態は,その損傷部位,受傷後の経過期間,尿路管理の状態などによってきわめて多彩であり,正確な診断,治療方針の選択,治療の実際など,困難な問題に悩まされることがしばしばある。脊損膀胱についての知識の一層の涵養の必要性を日常痛感していたところである。たまたま第11回日本パラプレジア医学会において,「脊損者におけるTURと外尿道括約筋切開術」という演題名で,この問題に関して豊富な経験を持たれる方々を演者とし,この方面の第一人者であられる宮崎一興先生司会の下にパネルディスカッションが行なわれた。この会に出席する機会を失して,その貴重な内容の詳細を知ることができなかったわれわれは,今回本誌の特集記事(31巻,11号)としてその最新の解剖,生理をも含めた高い内容に接することができた。この重要な学会内容を特集論文としてとりあげられた編集関係各位に敬意を表したい。
膀胱内圧測定のほか最近はいろいろな水力学的あるいは電気生理学的研究が急速に進歩して脊損膀胱の病態の研究,治療方針の検討に寄与するところが極めて多くなった。一方,これらに必要な設備がないと,脊損膀胱の診断,治療経過の観察ができないのではないかという観念を抱く傾向も見られている。
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