文献抄録
AdriamicinとCis-Diaminedichloroplatinumの併用による悪性腫瘍の治療
pp.317
発行日 1977年4月20日
Published Date 1977/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202336
- 有料閲覧
- 文献概要
1965年Rosernbergらは無機の重金属であるプラチナが細菌の発育を抑制することを見い出し,その後動物移植の悪性腫瘍に対して強力な抗腫瘍効果のあることがわかつた。その毒性についても犬,猿などにより検討され,造血機能に対する影響は比較的少ないが,消化管系,腎尿細管などに対して毒性が強く,動物の剖検ではリンパ節,睾九の萎縮などが見られた。プラチナ化合物を実際に臨床患者に応用したのは1973年Wallace H,J.らで,彼らによつて初めて適正な投与量が示された。本論文の著者らはAdriamycinとCis-Diaminedichloro-platinum(DDP)の両抗腫瘍剤の相乗効果と投与量制限による副作用抑制効果を目安にして,48症例の各種臓器進行癌に併用投与してその効果を観察した。
腫瘍としては肺癌14例,胸部6例,卵巣・子宮10例,腎癌3例,膀胱癌1例,前立腺癌1例,睾丸腫瘍5例,その他9例である。投与量は原則としてAdriamicin 50mg/M2毎3週,DDP 50mg/M2毎3週とした。投与された症例はいずれも既に放射線療法あるいは抗癌剤投与をうけていずれも無効と判定されかつ予後も2ヵ月程度と考えられる末期腫瘍患者が選ばれている。結果についてみると,併用治療で腫瘍が50%以上縮少したもの15例で殊に肺癌に有効であつた。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.