文献抄録
摘出不能の後腹膜悪性腫瘍の治療/手術用腎盂鏡について
pp.872,876
発行日 1976年10月20日
Published Date 1976/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202240
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一般に後腹膜悪性腫瘍は臨床症状を呈する時には周囲臓器組織への浸潤,転移を来していることが多く,かつ腫瘍自体の増殖も早いために根治的腫瘍摘出術の不可能なことがしばしばである。このような症例に対して放射線の体外照射や抗癌剤の投与が行なわれるが,後腹膜腫瘍では腫瘍自体が大きくまた肝,腎,消化管への被爆線量が大きくなるために充分な放射線療法ができにくく,抗癌剤も副作用による障害が強く効果を期待しにくいのが現状である。著者らは,開腹術あるいはX線検査上から摘出不能とされた8例の後腹膜悪性腫瘍例に対して,アクチノマイシン-D(ア-Dと略)の少量持続点滴注入と放射線の分割照射を同時に併用して好成績を得たことを報告している。
治療方法は経腕動脈あるいは経股動脈的にポリエチレン管を腫瘍の主支配動脈へ挿入し,これを介して5%デキストローセ溶解のア-Dを毎分6〜8滴の速さで12日〜29日間持続注入し,体外照射は週1,000radsで総量4,500〜6,000radを分割照射した。ア-Dの点滴濃度は1μg〜6μg/kg/dayとした。
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