文献抄録
腎腺癌の転移巣に対するホルモン治療
pp.39
発行日 1976年1月20日
Published Date 1976/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202092
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限局性腎腺癌の場合には最近の診断と外科手術法の進歩によつて,5年10年の生存率の上昇は顕著であるが,転移のある時には予後は極めて悪い。Bloom(1964)が初めて進行性腎癌に性腺ホルモンを用いて以来,その治療効果について種々報告されている。著者らは1969年から5年間に38症例の転移のある腎腺癌を2群に分けて,ProgesteroneとAn-drogeneをそれぞれに投与してその効果について観察結果を報告している。
第1群の20例については,Andro-geneとして毎日20mgのFluoxyme-stcroneを8ないし12週間使用,第2群の18例には毎日300mgのMedroxy-Progesteroneを分割して8週間使用した。38症例中1例を除いてすべてホルモン投与前に腎摘出術を施行している。この腎摘術においてはいずれの症例も転移巣の縮少などは認められなかつた。効果の判定としては他覚的に有効としたものは転移病巣が20%以上縮少したと考えられるもの,不変は8週間のホルモン投与で転移病巣にまつたく変化の認められないもの,自覚症の改善としては治療によつて全身状態の好転,体重増加,病巣には他覚的変化はないが,疹痛などの緩解したものとした。観察結果としては,Progesterone群では他覚的有効例は1例もなかつたが,3例に自覚症の改善が認められた。
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