Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
腎移植を受けた患者の血圧は,移植腎機能が満足すべきものであるならばその多くは正常化する。しかしながら,移植前既に存在した高血圧が移植術後も持続するものや,移植術後ある期間正常血圧に戻りながら,その後ふたたび高血圧を発症する例も少なくない。このような腎移植患者に高血圧を来す原因としては次のものがあげられる。1)術直後の移植腎機能不全:これは主として屍体ドナー移植の場合に,温阻血時間や低温灌流時間が異常に延長したものにみられる1),2)急性拒否反応1〜3),3)慢性拒否反応4〜6,22),4)抗免疫剤として投与されるステロイドホルモン6),5)食塩・水の体内蓄積,6)腎周囲線維化7),7)糸球体腎炎の再発8),8)移植腎動脈狭窄9〜16)。
移植腎動脈狭窄は,高血圧を惹起するだけでなく,移植腎機能を悪化せしめ,時に慢性拒否反応の診断のもとに正しい治療を受ける機会を逸してしまう危険性がある。外科的血管修復術によつて高血圧のみならず,腎機能をも改善せしめうるこの疾患について,ヴァージニア医科大学臨床移植センターにおけるわれわれの経験した17症例を検討する。
Almost all the transplant recipients' blood pressure which had been hypertensive before surgery returns to the normal range after successful kidney transplant. However, some remains hypertensive or develops hypertension after a certain period of normotension because of various causes. Among them, stenosis of the transplant renal artery can cause not only hypertension but also deterioration of kidney function, which are very likely misdiagnosed to be chronic rejection of the graft with intimal changes of renal arterioles.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.