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特集(増刊号の)5 尿路・性器疾患の化学療法(感染症と腫瘍)
Ⅲ.尿路・性器悪性腫瘍の化学療法
泌尿器癌転移巣の酵素化学的診断
Enzym Chemical Diagnosis of Urolorigical Cancer Metastasis
高安 久雄
1
,
小磯 謙吉
1
Hisao Takayasu
1
,
Kenkichi Koiso
1
1東京大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, School of Medicine, Tokyo University
pp.171-179
発行日 1972年12月25日
Published Date 1972/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201529
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はじめに
今世紀に入り酵素学の基礎的な進歩につれて,これの臨床医学への診断的応用が行なわれてきている。とくにWohlgemuthが膵疾患,ことに膵炎で血中,尿中Amylaseが特異的に上昇することを報告して以来,疾患と酵素との関係が注目され始めたのである1)。
一方,悪性腫瘍研究の中心として酵素が注目されてきていた。1943年Warburg,Christianらは癌組織では正常組織に比して解糖過程の速度が速いことに気付き,その原因を追求する目的で解糖系の酵素をJensen・sarcoma移植シロネズミの血清で測定したところ,Aldolase,Triose isomeraseが上昇していることを発見した2)。ここに担癌生体,癌患者と血清酵素との関係が存在することが明らかになつた。ここに癌の臨床診断として血清酵素,尿中酵素が利用できる可能性が生れて来た。この可能性に向かつて,現在まで数多くの研究が行なわれてきているにもかかわらず,癌の診断としての酵素の臨床的意義は若干の酵素を除いてはきわめて低いといわざるをえないのが現状である3)。
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