文献抄録
尿路感染症に対する自家導尿の効果
pp.503
発行日 1972年6月20日
Published Date 1972/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201401
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一般に尿路感染症は尿路の正常な組織に新生物,結石あるいはカテーテル,器械的操作などの異物の力が加わるときに発生しやすいことは認められているが,細菌感染は組織の血流障害があるときにもつともおこりやすい。胱膀の血流障害は内圧が上昇したり膀胱が過伸展したときにおこるもので,この膀胱の貧血時にグラム陰性細菌が血行あるいはリンパ行性に感染すると考えられる。女子の場合には排尿を我慢したり,男子では下部尿路の通過障害が膀胱炎の第1の原因といえる。われわれは以上のような考えのもとに上・下部尿路の感染症を防止するもつとも重要な方法は,膀胱の内圧上昇をさけ,かつ膀胱の過伸展を防げば十分であると考えている。著者らのこの考えを実証した症例として次のような例をあげている。症例は30歳の女性で多発性の硬化症で促迫失禁,不完全尿閉と再発生の尿路感染を主訴にしている。神経因性排尿障害で残尿は約120ml存在する。
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