文献抄録
腎腫瘤鑑別への超音波の応用
pp.201
発行日 1972年3月20日
Published Date 1972/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201345
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腎腫瘤の鑑別診断のためには現在腎盂撮影,断層撮影,動脈撮影をはじめ腫瘤の穿刺診断などが応用され相当確実な診断が得られるようになつているが,著者らは超音波を用いて腎腫瘤の鑑別を150例について施行し,その結果を報告している。
腎における超音波のパターンを3型に分けて考え,第1は充実性のもの,第2は嚢胞性のもの,第3はこの両者の混合型としている。充実性腫瘤のパターンを呈した症例についてみると,150例中38例にこの型のものがみられた。このパターンを示した症例を更に分析してみると,25例は腎癌であり,4例は小さい嚢胞で,9例は正常腎であつた。すなわち38例中25例の的中率で90%であつた。次に嚢胞性パターンを示した症例は92例であつて,これらの症例の分析では84例は腎嚢胞,4例が水腎症,2例が腎血腫で,残りの2例は腎腫瘍であつた。このパターンの的中率は98%と言える。混合型のパターンを示した症例は20例であり,この分析結果は6例が壊死性腎癌,3例がウイルムス腫瘍で腫瘍内に出血巣壊死巣の含まれる例であつた。2例は腎膿瘍,5例は嚢胞腎,2例が水腎,その他2例で混合型パターンを呈したものでは誤診は0であつた。以上の結果を綜合すると,150例の腎腫瘍を超音被で3型のパターンに分類した結果では144例(96%)の的中率を示した。
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