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特集(増刊号の)4 泌尿器と関連領域の症候レントゲン診断
Ⅱ.腹痛と尿路通過障害性疾患のレ線像
尿路通過障害による腹部痛
Abdominal Pain due to Urinary Disturbances
川井 博
1
Hiroshi Kawai
1
1日本医科大学泌尿器科
1Department of Urology, Nippon Medical School.
pp.63-67
発行日 1971年12月25日
Published Date 1971/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201293
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疼痛は生体にとつて病巣の存在を示す警報症状であつて,患者は痛みを主訴に受診することが一番多いといえる。診察する医師にとつては疼痛自体が診断の大きなより所であり,治療中における疼痛の消長は治療効果指針となることも多く,一般に疼痛の発現・持続や再発は,原疾患の進行度や慢性化の様相と平行することがしばしばであつて,疼痛の観察は臨床上極めて重要な診断・治療の手掛りである。しかしながら腹痛をおこす疾患は,腹腔内・後腹膜腔臓器の各種疾患を考慮せねばならないわけで,腹痛の原疾患を正しく鑑別することは,仲々容易なことではなく,広い知識と豊富な経験を必要とすることは申すまでもないが,ここでは尿路通過障害に起因する腹痛について,その腹痛の性状と診断の方法などについて述べて見たい。
一口に尿路通過障害といつても,その原因としては腎盂・尿管・膀胱から尿道の先端に至るまでの全尿路の機能的・機械的な障害が含まれるのみならず,尿路周辺部の病変による機械的圧迫などが原因となつていることもあり,その原因は極めて多様である。そこで上部尿路と下部尿路の通過障害に分けて,それぞれの重要な通過障害性疾患について述べて見たい。
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