文献抄録
前立腺肥大症凍結療法の長期予後
pp.420
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201170
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著者らはすでに120名の前立腺肥大症に凍結療法を施行し,その内80名について2年以上の経過を観察して報告している。治療成績について著効群は術後の尿放出力が良く,残尿もほとんど認めず,かつ尿道鏡的にも前立腺尿道部に腺組織の残存がわずかなものか,あるいは両側葉は残つていても後部尿道がU字型に開大して排尿障害の認めない症例である。この著効群に入れられるものは80例中26例で32.5%に相当する。
次に臨床症状が治療前とあまり変らないものをやや有効ないし無効例としたが,これに属する症例は全体の約2/3にあたる。これらの症例では臨床症状と尿道鏡所見とが必ずしも一致しないので分類しにくいが,尿道鏡所見から次の4型に分けている。第Ⅰ型は内尿道口が細いV字型をなすもので,前立腺組織がわずかに除去されたために後部尿道頂部と両側葉の間にV字を形成している。この型を呈するものは21例で26%にあたる。第Ⅱ型としては大形のV字型内尿道口を示すもので14例で17%である。これは精阜から膀胱頂部にかけて両側葉が残存し,排尿障害があり,ある程度の残尿を示す。このうち2例は残尿が高度のためTURにして12g前後の腺組織を切除して症状は緩解した。第Ⅲ型は孤立的に腺組織塊が後部尿道に残存して排尿障害となつているものであるが,この型は残尿は少ない。
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