Japanese
English
綜説
尿道の解剖—疾病と関連して
Anatomy of the male and female urethra-with reference to inflammation
田林 綱太
1
Tsunao Tabayashi
1
1東京医科大学泌尿器科
1Department of Urology, Tokyo Medical College
pp.13-26
発行日 1971年1月20日
Published Date 1971/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201093
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緒言
尿道は単に膀胱に蓄積した尿を体外に排出の用路をなす簡単な粘膜管のように考えられるが,仔細にこれをみると相当複雑な構成となつている。また男子ではその一部は生理器官と共在し,女子でも腟に併走し,外陰部に開口するところから周囲組織との関係などははなはだ複雑であり,ことに炎性機転を惹起した場合にはこれらの問題が絡み合う関係上,その解剖学的知見を知悉する必要がある。かかる故に世上内外幾千の学徒が終世を傾けての研究が文献として遺されている。しかもなお遺漏なしとしない問題があり,恩師上林教授がそれらの事柄を指摘して,余にその研究を命ぜられ,あわせて当時尿道の専門研究者であつた佐藤恒祐博士にその教えを受けしめられた。時は大正の中期である。爾来一門を挙げて,それらの事項を辿つてみたが,余の怠惰と細管遅々の怨みは今日なお多くの未解決の問題を抱えている。
幸いに教室各位の努力は当該部に疾患のない事故死ないし胎児の材料を多くの標本として座右に山積してあるが,老耄の余はその切片の半分も目通しできないであろうが,しかし誰かが完成する日のあることを期待する。
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