文献抄録
Actinomycin Dによる腎腫瘍治療
pp.965
発行日 1970年10月20日
Published Date 1970/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201022
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腫瘍の化学的療法は,その効果がまだ完全に解明されていない時では危険な薬剤であり,殊に対象が小児の場合には,長期予後を考えると化学療法剤の使用は一層慎重でなければならない。著者らは1955年から1968年の14年間に74例のNephro-blastomaを治療したが,その腫瘍の浸潤度を3段階に分類し,その各々の群についてActinomycin Dを術後に使用したか否かによつて,その予後観察を行なつて,化学療法剤の利用値価について言及している。浸潤度の分類として,1度は腫瘍が完全に腎被膜に被覆され,術中にリンパ節転移の認められなかつたもの。2度は腎被膜外に腫瘍浸があり,術中リンパ節転移あるいは腎静脈の腫瘍栓塞が認められた症例,3度は遠隔臓器部位への腫瘍転移を証明したものとした。これら3段階の各群について,A組は術後アクチノマイシンD(Act-D)を使用したもの,B組はAct-Dを使用しないで予後をみたものとした。
結果についてみると,I度の25名はいずれも腎摘除後,腎門部に後照射を施行。A組16名中1名が術後8カ月で肺転移で死亡,B組では1名が術後2年4カ月で右上肺野に転移を認めたが,肺葉切除でその後7年10カ月健康である。2度の群では23名中20名が腎摘出,3名は腎摘不能であつた。A組は15名で,B組は8名である。
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