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Oskar Vogt先生の御逝去を悼む
難波 益之
1
1山口医科大学精神医学教室
pp.828-829
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200162
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O. Vogt先生は1957年7月31日,Freiburg大学病院でその長く輝かしい90年の生涯を終えられた。1955年より2年間,先生の研究所にお世話になつた私はことに哀惜の情に堪えないものがある。先生は1870年,Jutlend半島の南部でドイツ人の地主を父とし,デンマルク人を母として生れ,幼年時代よりすでに生物学に興味を持つておられた。先生ははじめKiel大学でF. Tonniesに哲学を学び,後医学に転ぜられた。1890年,先生はJenaで生物及解剖学をF. HaeckelとM. Furbringerに,精神病学をO. Binswangerについて学び,ここで先生の最初の論文,Uber Fasersysteme in der mittleren u. caudalen Balkenabschnittenが書かれた。
1894年,先生はA. Forelを訪ね,3カ月間Hypnotikと脳の解剖学を修めたが,この時偉大な両学者の間に永い友情が芽生え,それに基づいてZ. f. Hypnoticus,続いて1920年に優れた内容を持つたJ. f. Psychiatrie u. Neurologieが生まれた。この雑誌には非常に奇麗な,記録価値を持つた写真が数多く載せられたが,これは先生が所長だつたBerlinのKaiser Wilhelm研究所で,先生御自身印刷工場を監督して作製されたものであつた。先生とともに発展したこの雑誌の発行は1954年をもつて閉じられたが,先生の止むことなき研究の成果は再びNeustadtでJ. f. Hirnforschungの発刊となり,ご永眠に至るまで続けられた。
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