追悼
荻原義郎教授の御逝去を悼む
山室 隆夫
1,2
1京都大学
2国際整形災害外科学会
pp.1174-1175
発行日 1995年10月25日
Published Date 1995/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908285
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本年7月12日および13日にAsia-Pacific Musculoskeletal Tumor Society(アジア太平洋地域筋骨格系腫瘍学会)の第1回学術集会が三重大学の荻原義郎教授を会長として東京において開催されました.その学術集会予稿集の扉頁に荻原教授御自身が書いておられるように,アジア太平洋地域にこのような学会が創設されたのは世界の人口の半数以上が住んでいるこの地域において,筋骨格系腫瘍についての研究を促進し情報を遍く伝えることによって人々を腫瘍から守ろうという目的からでありました.この学会の記念すべき第1回学術集会の会長として,永年この領域において精力的に研究を行ってこられ,また,国際的にも極めて高名である荻原教授が指名されたことは当然のことであり,荻原教授も使命感に燃えて立派な学術集会を企画されました.しかし,その学術集会の第2日目の早朝,荻原教授は御自分のライフワークとして闘ってこられた癌によって忽然としてこの世を去られました.当日,学会場においてこの御訃報に接した各国からの出席者一同は粛然として声なく,余りの驚きと悲しみに唯深く頭を垂れて荻原教授の御冥福を祈ると共に,その御努力に対して感謝の意を表するのみでありました.この学術集会のちょうど2カ月前にイタリーのフローレンスにおいて筋骨格系腫瘍に対する患肢温存の国際学会が開催されました.
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