文献抄録
外傷性切断陰茎の再吻合術
pp.399
発行日 1969年5月20日
Published Date 1969/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200676
- 有料閲覧
- 文献概要
著者は外傷により完全に切断された陰茎の再縫合について文献的に調査したが,現在までに1例の縫合成功例があつた。この症例は50才の精神分裂症患者が自己の陰茎を肉切り包丁で完全に切断したもので,患者は直ちに病院へ運ばれ,切断後1時間45分後に陰茎の再吻合が行なわれた。経過は陰茎皮膚は10日後には壊死になり38日後には完全に脱落,遠位尿道も血行再開せず,後日陰茎皮膚および尿道は陰嚢皮膚により再建し排尿も可能となり,勃起射精等も本人の言によると満足にできるといわれる。著者は8才の少年が性戯から陰茎を振子根部において完全に切断した症例を経験し,その再縫合方法についての知見を述べている。この少年の場合は事故後3時間して陰茎の再吻合を行なつたのであるが,血行再開を考慮して陰茎の断端の血管結紮は行なわず,被切断陰茎の皮膚は切除しておいて尿道および陰茎海綿体はそれぞれに再吻合し,陰茎は陰嚢皮下に埋沒し,亀頭部は露出した。排尿は膀胱瘻より行ない尿道にはカテーテルを留置しない。術後の経過は7日目頃には亀頭部は黒化し皮膚は脱落したが,3週間目には上皮は再生し亀頭部の知覚も完全に保たれており膀胱瘻設置したまま一時退院した。そして術後11週目に陰嚢皮下に埋沒陰茎を正常に戻し,吻合尿道に軽度の狭窄を認めたがこれを正常に拡張(20Fまで)した。この患者は現在排尿は全く自由であり,亀頭部の知覚もあり早朝時には勃起もある。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.