文献抄録
131I標識ETHIODOLの淋巴節直接注入について,他
pp.431
発行日 1967年5月20日
Published Date 1967/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200165
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Kinmonth(1955)およびその協同研究者により淋巴管撮影が行なわれるようになつてから本法の悪性腫瘍転移巣診断の価値は高く評価されており,またFisher, Zinmmerman(1959)によりこの技術が淋巴節への化学療法剤の注入に応用され,放射性同位元素としては198Arの注入は広く行なわれている。131I標識のEthiodolについてはSeitzman等(1964)はこれを用いて淋巴節に転移のある悪性腫瘍患者の治療を行なつた報告はある,著者はこのものの基礎的動物実験によりその効果について確認している。
著者は131I標識Ethiodol 10mc/ccのものを犬の後脚淋巴節へ直接注入し,この造影剤の分布をレ線的に撮影するとともに淋巴節組織の病理所見を経時的に観察,131Iの分布排泄,血液変化等について観察している。主な結果については淋巴節所見としては注入第1週目よりその大きさが著明に縮少しこの状態は3ヵ月継続し,3ヵ月後には淋巴節は注入前の75〜85%の縮少(約1/5)となる。組織学的には淋巴節は1ヵ月以内は放照線による影響で崩壊が強く再生所見は全くない。淋巴節の皮・髄質の鑑別は困難となり巨細胞も出現する。2ヵ月では結合織の増生が著明となり,3ヵ月になつてやつと再生像が認められる。
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