特集 副腎腫瘍を再考する―診断と最新の低侵襲治療
企画にあたって
宮川 康
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1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(泌尿器科)
pp.547
発行日 2014年7月20日
Published Date 2014/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103627
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副腎腫瘍は決して頻度の高い疾患ではないものの,治療については,日本初の腹腔鏡下副腎摘除(1992年)から早20年,また「副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術のガイドライン」(田中正利,桶川隆嗣,酒井英樹,他:副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術のガイドライン.Jpn J Endourol ESWL 21:3-14,2008)刊行から5年が経過し,先頃,改定版も発表された(Jpn J Endourol ESWL 27:7-11,2014)。今や,鏡視下手術が副腎腫瘍の標準治療としてすでに確立した感がある。しかしながら,より低侵襲とされる単孔式腹腔鏡下外科手術(LESS),さらには保険未収載ながらロボット支援手術やラジオ波焼灼術などのIVRも取り組まれつつあり,治療モダリティのオプションは,今なお,発展の途にある。
一方,診断に関しては,各種内分泌検査,精度の高い画像およびIVR技術の進歩により,多くのケースで容易となっているが,それでも,複雑な病態を呈し,機能性か非機能性か,あるいは悪性か良性かの鑑別,さらに局在診断に窮するケースも少なくない。診断については,内科医,放射線科医,病理医の協力が不可欠であることは論をまたないが,泌尿器科医としても,病態ならびに診断プロセスの深い理解なくして適切な治療を語れないのも事実である。
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