書評
「ティアニー先生のベスト・パール2」―ローレンス・ティアニー 著 松村正巳 訳
八重樫 牧人
1
1亀田総合病院/総合診療・感染症科
pp.701
発行日 2013年8月20日
Published Date 2013/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103295
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ティアニー先生は「診断の神様」といわれ,NIH(米国国立衛生研究所)が毎年1名だけ選出するGreat Teacherにも選ばれたことがある全米を代表する総合内科医である。症例カンファレンスでの卓越した診断能力・教育能力,そして愛すべき人柄にファンが多く,毎年日本全国から講演依頼が殺到している。それだけでなく,先生の影響で臨床診断学や総合内科に興味を持ち,キャリアまでも変えた医師も数多い。数多くの症例カンファレンスで,ほんの一握りの追加情報が加えられただけで,診断に卓越した医師ならどう考えるかを研修医にもわかりやすくホワイトボードに書きながら語りかけてくれる。その診断能力が素晴らしいのはいうまでもないが,臨床医学の「愉しさ」が伝わってくるのもティアニー先生のカンファレンスの特徴である。
診断能力などの技能を極めるためにはその分野が好きであることが近道である。好きであれば技能を極めるために必要な努力を惜しまず,積極的に努力できる。ティアニー先生のカンファレンスが素晴らしいのは,本来ならばティアニー先生の技能がないと感じられない臨床診断の「愉しみ」を,参加者までもが感じられるからではなかろうか。医療のサイエンスではなくアートの部分である。
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