書評
「がんサバイバー―医学・心理・社会的アプローチでがん治療を結いなおす」―Kenneth D. Miller 原書編集/勝俣範之 監訳/金 容壱,大山万容 訳
佐藤 禮子
1
1兵庫医療大・療養支援看護学
pp.576
発行日 2013年7月20日
Published Date 2013/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103265
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「がんは個人の世界観を根本的に変えてしまうため,多くの人が人生や人間関係,そして自分自身についての核となる原点を問いなおすようになる」。
“がんは身の内”,“がん細胞はわが身の一部が変化したもの”,などなど,人はさまざまにがんの正体を表現するが,冒頭の一文は,正に言い得て妙と言いたい。本書で記されるがんの定義として「がんとは人生の長きにわたって経験される複合的なトラウマ的出来事であり,告知や,治療,副作用,再発への恐怖,死への恐怖といった数多くの不快な経験により定義されるものである」という記述も,また胸に響く。本書は,がんの専門家が自らの体験や身近ながんサバイバーとの日常生活から得た生きた知識や知恵をヒントに,それらを科学的に証明して解説したり,あるいは引用文献に基づいて解説したりしている。
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